2026.01.07
これも技術のうち
私は新日本プロレスが好きで、試合会場へ足を運ぶこともあります。
2026年1月4日、新日本プロレスの棚橋弘至選手が引退しました。
バブル崩壊以降の氷河期を生きてきた同世代として、強い共感を抱く選手でした。
今後は棚橋弘至社長として、新日本プロレスの経営責任者になります。
そして社長の言葉として響いたのが「入場料収入に頼りすぎている構造を変えたい」という発言です。
一見するとプロレス業界の話に聞こえますが、決して他人事ではありません。
新日本プロレスの売上は50億円規模。その中心は会場のチケット代、いわゆる入場料収入です。
観客が入れば売上は立ちます。裏を返せば試合をしなければお金は入りません。
企業で言えば「人が働いた分だけ売上が立つ」「忙しくなればなるほど現場が疲弊する」状態に近いと言えます。
興行を増やせば、選手の負担や怪我も増します。
会場には物理的な限界があります。
天候や社会情勢にも左右されます。
頑張れば頑張るほど、不安定になる稼ぎ方だということです。
人が頑張っている間は数字が出ます。
忙しいうちは問題は見えにくくなります。
だから多くの組織は「本当に苦しくなってから変えよう」とします。
しかしその時点では、体力も資金も、選択肢も残っていません。
棚橋社長が未来に向けて、映像配信やグッズといった分野に力を入れようとしているのは「まだ余力がある今しかできない」と理解しているからです。
もちろん配信やブランド展開は簡単な話ではありません。
運営コストがかかり、コンテンツ制作には時間と人手が必要です。
やってみたものの思ったような成果が出ない可能性もあります。
それでも、今動く。
選択肢は余裕があるときにしか選べません。
安定しているように見える今こそ、次の一手を考えるタイミング。
新日本プロレスが取り組もうとしているのは「依存している稼ぎ方からどう抜け出すか」という、非常に普遍的なテーマです。
これからも新日本プロレス、そして棚橋社長が描く未来を、一人のファンとして追い続けていきたいと思います。

*寝てても相手を殴る、これも技術のうち